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ショパン/スケルツォ第2番のラストについて

スタッフTKのおすすめクラシック 2021.10.5 Vol.47

草津A・SQUARE店/ミュージックサロンA・SQUARE

 2021年5月から刊行スタートした、ショパン ナショナル・エディション(通称「エキエル版」)の日本語版。ショパン国際コンクールの推奨楽譜に採用され、最新の研究成果が反映されていますが、その第2回発売分のスケルツォ集。数あるショパン作品の中でも、演奏する側、聴く側両方からも人気の高い スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31の最後の小節(780小節目)に注釈が2つあります。
 1つは右手の1オクターブ上げる記号は前打音にもかかっていること。もう1つは両手の符点2分音符に楔(くさび)形のスタッカート(スタッカーティシモ)が付いているという点です。前打音は他の様々な楽譜を見ると、8va…が前打音の小さい音符にはっきりとかかっているもの(ヘンレ版、ウィーン原典版、パデレフスキ版、全音ピアノピース)、かかっていないもの(全音:スケルツォとファンタジー)、微妙なもの(音楽之友社、春秋社)などと分かれています。最初からこの前打音を実音の高さで書いておけば、色々な読まれ方をされずに済んだと思うのですが…。
 そして楔形のスタッカートですが、他の版では音楽之友社と春秋社の新版にこの形のスタッカートがついていて、全音にはアクセント記号がついていました。ちなみにその右手の最後F音は最新のエキエル版が上からフェルマータ、楔形スタッカート、8vaの順、音楽之友社が8va、フェルマータ、楔形スタッカートの順、春秋社が楔形スタッカート、8va、フェルマータの順番での表記でした。
 ここで私は“そもそもショパンは「楔形スタッカート」を使用していたのか?”と思い、他の作品を調べた所、有名な曲ではピアノソナタ第2番 Op.35「葬送行進曲付き」の第2楽章、バラード第1番 ト短調 Op.23、木枯らしのエチュード Op.25-11、前奏曲集 Op.28の第18番ヘ短調と第24番ニ短調、そしてピアノ協奏曲第1番 Op.11の第3楽章などに見られました。
 ソナタ第2番 第2楽章では第37小節目のD音(いくつかの楽譜では、その後の1拍目が両手オクターブの箇所にも付いていました)。バラード第1番はラスト直前、2回ある上行スケールの直後 252、256小節の1拍目の8分音符。木枯らしのエチュードでは、62,64小節の3拍目の2箇所のみですが、Henle版とウィーン原典版では通常のスタッカートだったので、後の出版社が勝手に付けた可能性があります。前奏曲第18番は第9~12小節のfzの部分、第24番は右手3度音程下降形のあと、59小節の1拍目の8分音符(これはいくつかの楽譜では通常のスタッカートのものもありました)。
 これらは“ここぞ”という箇所でスタッカーティシモが使われていましたが、コンチェルトの第3楽章ではロンド主題に多用されています。また今回調べた分ではどれも4分音符や8分音符に付いていましたが、スケルツォ第2番の最後の音は符点2分音符。しかもフェルマータもついています。Henle版やウィーン原典版の校訂者がこの楔型スタッカートを見逃すとは思えませんし、なによりもウィーン原典版の校訂者はヤン・エキエルです。
 もう私個人ではこれ以上はどうにもならないので、今年10月から1年延期されたショパン国際ピアノコンクールが本格的にスタートするので、スケルツォ第2番を演奏するコンテスタントが、この曲のラストをどう弾くか注目しようと思います。