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草津A・SQUARE店/ミュージックサロンA・SQUARE

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ベートーヴェン/月光ソナタ第3楽章の強弱記号

スタッフTKのおすすめクラシック 2021.5.9 Vol.44

草津A・SQUARE店/ミュージックサロンA・SQUARE

 Henle版輸入楽譜が入荷して、内容をチェックしていた際、気になったことがあったので、今回はその件(楽譜比較)について書いていきます。『月光ソナタ』ベートーヴェン/ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2の楽譜、そして演奏CDや音源(できればそれぞれ複数)を用意して下さい。
 ヘンレ版等、いわゆる原典版と呼ばれる楽譜は、オリジナル、たとえばヘンレ版やウィーン原典版などはベートーヴェンの自筆譜(オートグラフ、月光ソナタは(かなり乱筆ですが)自筆譜が残っています)と、最初の出版(1802年)を基にしていますが、出版社や校訂者の編集方針が反映され、原典版といえど同じ曲なのに各出版社内容が様々です。その上で私が原典版に対して特に重要視していることは、オリジナルの楽譜に書かれていない音符や記号は書かない、他の版と比較する時は注釈をつけて巻末や別紙で説明するという点です。
 それを踏まえて月光ソナタ第3楽章Presto agitatoの終盤、クライマックスの減7和音のアルペッジョ163~166小節とその直前を見ると、どこにもf(フォルテ)やff(フォルテッシモ)が書かれていません(ffがついているのは全音ピアノピースなど一部です。同じ全音でもソナタアルバムの第2巻にはついていません)。つまりsf(スフォルツァンド)の付点2分音符以外はp(ピアノ)で弾かないといけないことになります(よね?)。
 しかしどのピアニストも“これでもか”と強奏しています。自宅にあった様々なピアニストのCD、ユーチューブにUPされている演奏や最近多いフォルテピアノでの演奏でも同様でした。
 そしてもう1ヶ所、そこより前の149~150小節(提示部では55~56小節)ここはどの楽譜も共通で、最初の小節にクレッシェンド、次の小節の3拍目でデクレッシェンドと書かれていますが、ほとんどのピアニストはこのような強弱にせず、149小節(55小節)からデクレッシェンド、さらに一部のピアニストはテンポも落としています(リタルダンドの表記はありません)。
 なぜこのようなことになったのでしょうか。ヘンレ版もウィーン原典版も最新のベーレンライター原典版もこれらの部分には何の注釈もありませんし、「○○版では、こうなっている」という注釈の多い春秋社版(旧版、新版どちらも)でも何も書かれていません。
いろいろ調べていると全音から『1857年 最初の完全な全集』として出版された楽譜のファクシミリの複製版が出ていました。ここの163小節目にはffが書かれています(カッコも注釈もなし)。この楽譜を編纂したのは、あのフランツ・リストです。リストの編集方針がどうだったのか、今となってはわかりませんが、彼の解釈が他の楽譜に書かれてなくても、後のピアニスト達に影響を与えたのは確かでしょう。それでも私は、クライマックスの減7のアルペッジョをp(ピアノ)で弾く、という演奏に出会ってみたいですが、皆様はどう思われますか?